1ポンドの悲しみ

1ポンドの悲しみ (集英社文庫)

1ポンドの悲しみ (集英社文庫)

 
短編集なので通勤時間に読むのに良い本。
一度読むのを中断して他の本を読んでいたので
読み終わるまでにちょっと時間が掛かっちゃったけど(;´ω`)
 
10のストーリーが描かれているんだけど
読んでいると昔あった出来事や考えていたことを思い出した。
描かれたストーリーの中に重なる部分があったから。
(勿論、全てのストーリーがそうというわけじゃないけど)
懐かしいような、羨ましいような、少しだけ自分がそこに見えるような…*1
そんな気持ちで読んだ。
石田衣良の描くストーリーを読んでいると、それはフィクションであるのに
何処か現実に繋がるような不思議な感覚になる。
この感覚が、私が石田衣良の描く物語を好む理由かもしれない。
 
タイトルの『1ポンドの悲しみ』は
シェークスピアの『ヴェニスの商人』で登場する表現からきているらしい。
「心臓の近くの肉を1ポンド」
好きな人とはなれる胸の痛みを表現したものなのかな?
1ポンドは約450グラム。
…ちょっと怖いな(苦笑)
「心臓のそばの肉をそんなにとったら間違いなく死んでしまうな」と文中にもあるが
そういう時の胸の痛みを表現するには面白い表現だと思った。
何となく想像出来るというか頷けるような…
胸が引き裂かれるような、そのまま死んでしまうんじゃないかって思うような痛み、だよね。
いつか『ヴェニスの商人』も読んでみようかな。

*1:ちょっとおこがましい表現だろうか?(汗)