月命日

遠く離れた年上の友人の三度目の月命日を迎えて
ようやくそれが現実なんだと心にすとんと入ってきた。
 
3カ月前、訃報を聞いたときは全く現実感がなかった。
普段の生活の中で、顔を合わせることはなかったし
連絡も年に数回しかとっていなかったから実感がなかったのだ。
 
昔の職場で協力会社が集まったチームで一緒に仕事をしたのが
付き合いのきっかけだった。
世話焼きな友人を中心に、いつの間にか仲間として飲みに行くようになって
仕事が変わっても年に1度、みんなで集まって食事をして
昔の思い出話をしたり、いまの仕事はどう?なんて近況を話したりできる
そんな友人だった。

リスみたいにくるんとした瞳をして、可愛い声でゆっくり喋る人だった。
いつも明るくて優しい彼女が時々びっくりするような毒舌で悪戯っぽく笑う、
その笑顔がとても好きだった。
 
友人から彼女の闘病生活を聞いて、病気の進行の速さと
自力で歩くこともできなくなった様子が頭に浮かんで
幼い子供たちを残して逝った彼女の気持ちを思うと鼻の奥がツンと痛んだ。
 
感染症騒ぎで、最後のお別れに行くこともできなかったこと、
未だに線香をあげに行くことも叶わないことが残念だ。
何か、私がしてあげられることがあったら良いのに。